チームのことだけ、考えた。―サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか
著者:青野 慶久
発刊:2015-12-28
カテゴリ経営・起業
対象読者人事
章の構成
- 第1章 多様化前のこと
- 第2章 共通の理想を探す
- 第3章 会社のインフラを作る
- 第4章 多様性に対応した人事制度
- 第5章 制度を活かす風土を作る
- 第6章 多様化の成果
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書評
多様な働き方を認めるサイボウズはいかにして出来上がったのか
昨今では働き方改革が進められており、労働時間の短縮や副業解禁など、労働環境に大きな変革が起きている。それらの影響を受けて働き方が変わってきた、という方も多いだろう。
そんな中多様な働き方を認めている会社として世間から注目を浴びているのが、様々なグループウェアを開発しているIT企業である「サイボウズ」である。本書はそのサイボウズのCEOである青野慶久氏が書いた書籍である。
現在働き方改革を進めている人事や経営者の方にぜひオススメしたい一冊だ。内容としては、かつては離職率28%とブラック企業であったサイボウズがいかにしてホワイト企業、そして働き方改革の第一人者として認められるようになったのか、ということについてまとめられており、多様な人事制度が出来上がるまでの変遷について述べられている。労働環境の改善というところに大きく役立つヒントが得られるはずである。
特にサイボウズでは「多様性」ということを大事にしている。長時間働く人もいれば短時間だけ働く人もいる。週5で働く人もいれば週3で働く人もいる。仕事が大事という人もいれば、プライベートが大事、という人もいる。「100人いれば100通りの人事制度があっていい」という言葉を合言葉に人事制度の設計を進めている。
これまではすべての社員が同じ価値観で仕事を第1優先でがんばる、というのが日本では良しとされてきたし、まだまだその風潮は強い。しかしそれは価値観の押し付け合いとなり、多くの企業では労働者にとって負担でしかないようになっている。そんな中サイボウズでは「世界一のグループウェア企業になる」というビジョンは全社員統一で持つものの、それ以外の働き方に関しては多様であることを重視しており、それが労働者にとっては働きやすい環境につながっている。
多くの企業では、自社では難しい・サイボウズだからできることだ、と考えるだろう。もちろんすべての内容を模倣することはできないだろうし、それがいい環境に繋がるとは思えない。ただ、全部はダメでもその中の一部の策を実施することはできるはずだ。
サイボウズでは、多様な働き方を認めるようになってから、ブランド力は向上し、結果として求職者は増え、売り上げも順調に伸び出している。
もちろん多様な働き方を認める、というのは多くのコストがかかる。しかし、これから労働力の減少により遅かれ早かれ各企業は多様な働き方に向けての対策を取らざるを得なくなる。
手遅れになる前に、できるところからまずは試して見てはいかがだろうか。