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ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく

著者:堀江 貴文
発刊:2013-11-01
カテゴリ自己啓発
対象読者全ビジネスマン

書評

堀江貴文はなぜ、逮捕され、すべてを失っても、希望を捨てないのか?

「あなたは何のために働くのか」
この本はライブドア元社長で時代の寵児と呼ばれた実業家、ホリエモンこと堀江貴文さんが2年6か月に及ぶ刑務所生活を終えて最初に出版した本になる。

本の内容はタイトルの通り、厳しい刑務所生活で身も心もゼロになった堀江氏のありのままの思いが書かれている一冊だ。
本の中身は自分の生い立ちから家族観、恋愛観まで多岐に渡るが、その中でも本の大部分を割いているテーマは「仕事論」だ。
驚くことに、堀江氏は今までお金のために働いたことが一度もないらしい。いうならば、仕事と趣味の境目が曖昧になっているとのことだ。
しかし、堀江氏の元には毎日のようにお金のために嫌々働いている人からSNSや手紙などで頼りがくる。「どうしたら仕事が楽しくなるのか教えて下さい…」といった内容だ。

そこで堀江氏は、本書を通して仕事を楽しむ方法など独自の仕事論を書き綴っている。

仕事を楽しむ方法を解き明かすために、堀江氏は自らつまらなかった自身の学生時代を振り返っている。驚きだったのは堀江氏が経験した新聞配達のバイトの話だ。

何しろ堀江氏は今でこそ仕事を楽しむ毎日を送っているが、学生時代に経験した新聞配達のバイトだけはどうしても好きになれなかったらしい。好きでもない仕事を朝早くから初めて報酬もこれっぽっち…。
堀江氏が働くことが苦痛でしかなかった時代があったことには驚きだった。

しかし、その後に経験したコンピュータのシステム移植のバイトで、仕事をしていて「つまらない」という感情は一切頭をよぎらなかったとのことだ。
本書ではこの違いを踏まえて、仕事を楽しむ方法を解き明かしている。

両者の違いは「目の前のことに没頭しているかどうか?」という点にある。つまり、新聞配達のバイトはただやらされているだけの仕事で自分のやっていることにハマっていなかった一方で、コンピュータのバイトは時間を忘れてハマっていたのだ。
これは誰しもが経験のあることではないだろうか。
つまらない仕事ほど時間が過ぎるのが長く感じるあの感覚のことだ。いうならば、これは仕事に限った話ではない。受験勉強や家事、育児においても当てはまるだろう。

ただし、仕事はゲームやギャンブルのようにハマるためのメカニズムが用意されていないので、没頭するのは簡単ではない。

そこで仕事にハマって没頭するためのポイントが1つ挙げられている。
それは、「自分の手でルールをつくること」だ。
どんな仕事であっても自分の中でルールや目標をつくることは怠らない。それもその日達成できるかどうかギリギリのルールをつくることで気持ちを奮い立たせているようだ。

また、仕事をするうえで長期的な目標を立てないことも重要である。
理由は簡単で気持ちが続かないからだ。確かに遠すぎる目標を設定してしまうとモチベーションを維持するのは難しく、計画自体が倒れてしまいかねない。これも妙に納得がいく話だ。

もしかしたらサラリーランなど組織で働く人は、「自分でルールをつくるなんて無理だよ…」と思ったかもしれない。だが安心して欲しい。本書ではそんなサラリーマンの方々にとっても仕事を楽しむ方法がこと細かに書かれている。

その方法を実践したことで、堀江氏は一般的につまらないといわれる刑務所作業を楽しくやり遂げることができたのだ。
「楽しめない仕事なんてないんだ…」
「ゼロ」を読めば、きっとあなたも晴れやかな気持ちで仕事を楽しむための一歩を踏み出すことができるだろう。

章の構成

  • 第0章 それでも僕は働きたい
  • 第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
  • 第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
  • 第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
  • 第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
  • 第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない
  • おわりに

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