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実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた (PHP新書)

著者:橋下徹
発刊:2019-05-16
カテゴリマネジメント
対象読者管理職

書評

橋下徹はどのようにして48,000人の大組織を動かしたのか

本書は橋下元大阪府知事・大阪市長が知事・市長時代の経験をまとめた本である。

筆者である橋下氏は2008年から大阪府知事を勤め、その後2011年から2015年までは大阪市長を勤めた。その間大阪の財政問題の改善やカジノを中心としたリゾート構想、大阪都構想への住民投票など、大阪を大きく動かしてきた。これだけ短期間で大阪府・大阪市を大きく動かした人間は過去にいないのではないだろうか。
これを独裁ととるかリーダーシップととるかは意見が当時から分かれていたが、ただ様々な面で低迷していた大阪を大きく変えたというのは事実である。

何万人もの大組織を短期間で動かすというのは容易なことではない。特に橋下氏は当時の大阪を批判する、つまりは府・市職員を批判する形で当選したので、周りは敵ばかりという状況であった。
そんな中大阪府・大阪市合わせて何万人にも及ぶ大組織を橋下氏はどのようにして動かすことができたのか。本書はその橋下流マネジメント術のエッセンスが凝縮された書籍である。自身の知事・市長時代の経験を具体例として挙げながら説明していく形で話は進められていく。

一部内容を抜粋すると
・反対派をあえて側近に置く
・トップの仕事は、部下にできないことをすること
・部下にできないことを実現すれば、メンバーの意識は変わる
・完璧な案はないから比較優位で考える
・アイデアは実行プランまで考える必要がある
などを橋下氏は挙げている。

大企業などの組織を動かす秘訣を学ぶには非常にオススメの一冊だ。また小規模・中規模組織の場合でも、本書の内容を活かすことはできるだろう。インターネットの普及によりアイデアそのものの価値がなくなりつつある現代において、重要になってきているのは本書のタイトル通り「実行力」である。部下と上司を動かし、どのようにしてアイデアを実行していくか。
実行力を身に付けたい全てのビジネスパーソンにオススメする。特に経営者やあらゆる組織の管理職・マネージャー層は読んでおいて損はないだろう。

また私個人的には、一弁護士として活動していた橋下氏が、どのようにして組織の動かし方を学んだのかというところには大変興味がある。

章の構成

  • 第1章 まずは、人を動かす―実行のための人間関係、人事の要諦
  • 第2章 本当に実行すべき課題はどう見つけるか―橋下流・問題解決のノウハウと、マインドの持ち方
  • 第3章 実行し、信頼される人の条件とは―部下は結局、上司の背中を見て動いている
  • 第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」―結果を出す「仕組み」はこう作る
  • 第5章 上司を動かし、提案を通す―「トップの視界」を想像しながら仕事をする
  • 第6章 情報を制する者は、組織を制す―強い組織は、情報共有の横串がしっかり入っている
  • 第7章 日本と大阪を「実行できる組織」にするために―徹底的に考え抜かれた大阪都構想の実行プロセス

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