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外資系コンサルタントのインパクト図解術

著者:清水 久三子
発刊:2013-07-23
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書評

図解よりも大切な提案書の本質の考え方について学ぶ

タイトルに「インパクト図解術」とあるが、単純に見た目の良い資料をつくることではなく、提案資料の本質を理解させることに重点を置いた内容となっている。どれだけ綺麗な資料が作られようが、その中に込められたメッセージそのものにインパクトがなければ、相手に影響を与えることはできないからだという。
図解について解説する本は多い。しかし本書は図解のテクニック本ではなく、提案書・説明資料の「メッセージ」をいかにしてインパクトのあるものにするかという、より本質の部分についての解説がメインになっている。グラフ等の図解方法については最後の3、40ページ程度のみとなっている。

そのため、綺麗な提案書の作り方を学びたい、という人にはあまりメリットが得られない本かもしれない。ただ、提案書を作る上で本当に大事なことはなんなのか、ということについて学べる一冊であったと思う。

例えば筆者は、インパクト=印象力×影響力(自分事)×説得力 としている。
相手にインパクトを与えるメッセージというのは、単純明快であり、かつ意外性があり、具体的で信頼性があること。さらには感情に訴求できるストーリーを持つこととしている。その上で綺麗でわかりやすい図解をしていくことで、相手にインパクトを与える提案書になるという。

上記の点について紹介されていた、メッセージ作成の大事なポイントをいくつか紹介したいと思う。
・単純明快であること
これは伝えたいことの本質はなんなのかをとにかく考え抜くこと。シンプルなメッセージにできない、ということは本質がわかっていないからである。
・具体的に示すこと
相手にとって数字にリアリティを持たせることが必要で、例えば広いことを表すなら「東京ドーム◯個分!」のような表現方法が効果的。
・信頼性を出すこと
メッセージそのものの信頼性に加え、専門家の口コミや「あの人が言うなら…」といった形でより信頼される要素を入れる。
・感情訴求ができること
「もし◯◯だとしたら、どう思いますか?」「◯◯であったことを思い出してください」といった形で理想の状態を想像・想起をさせることで感情に訴えることができる。
・ストーリー性があること
理想が実現した世界を疑似体験させたり、提案事項が実現するビフォー・アフターを考えさせることでストーリー性を持たせることができる。

そのほかにもいくつか面白い考え方が紹介されており、メッセージをピラミッド状に書いていく「ストーリーボード」という考え方も非常に面白いものであった。これは自分の主張とその根拠をロジックツリーのような形でピラミッド状に書いていくことで、提案書の中身が整理されるという方法である。
また、まずはパワーポイントを開かずに、文章で提案を作ってみる、と言うのも一度試してみたい方法だと思った。

諸々概要を紹介してきたが、上記の通り図解よりも、提案書の内容の考え方を解説している書籍である。
(そういう意味では内容は良いのに、タイトルとのギャップが勿体無く感じた。)
かなり具体的に多くのテクニックが紹介されていたので、すぐに実践できることも多い。

ビジネスマンであれば、社内外問わず提案書を作成する機会は多いと思う。
図解の方法を学ぶのも大切だが、まずはこういった提案書の本質を学ぶ、というのも大事ではないかと思う。

章の構成

  • MECHANISM-インパクトのメカニズムを知る
  • MESSAGE-メッセージを練る
  • STORY-ストーリーボードを構成する
  • EXPRESSION-インパクトを表現する

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