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リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法

著者:安藤広大
発刊:2020-11-25
カテゴリマネジメント
対象読者管理職

書評

識学式マネジメント手法の解説書

優秀な「プレーヤー」が昇進して「マネージャー(管理職)」になる。社会では当然として考えられているこのキャリアステップであるが、多くの優秀なプレーヤーはマネージャーになった途端に、思った結果が出せず苦しむことになる。
では、マネージャーとして結果を出すためにはどういった思考・行動が必要なのだろうか。

本書は、組織コンサルティングを行う株式会社識学の代表 安藤広大氏の執筆によるもの。「識学」の組織論を元にマネージャーとして活躍するために必要な考え方を説いたものである。

これまでマネジメントといえば、部下のモチベーションをあげ、人間関係を良くし、組織として一致団結をすることでより良い結果を出す、ということが正しいと考えられてきた。
しかし識学においては部下のモチベーション管理や人間関係の形成などに対してマネージャーがリソースを割く必要は一切ないという。

逆に部下とは一定の距離を取り、組織において細かなルールを決めること。部下との飲みニケーションやランチも行かず、仕事の意義などを説いて、やる気を出させる・離職率を下げる等の行動も一切とらない方がよいという。

一般的に良いとされていることと真っ向から対立するようなマネジメント手法であり、一見かなりドライとも取れる組織論のため、拒否反応を示してしまう人も多いのではないかと思う。
ただ安藤氏は、識学は「全員が成長できるマネジメント手法」であり、どこの企業でも活躍できる人材を育てるためのマネジメントであることを考えると、より人間的な組織論であるという。
確かに本書を読み進めていくことで、識学の理論にも納得することができ、自分自身マネージャーとしての経験を振り返ると、こうしておけばよかったのか・・・!と思うことも多く、ぜひ今後の参考にしたいと感じられた。 

もちろん識学が全ての会社に合うわけではないだろうし、自社に馴染むものなのか、ということは検討する必要があると思う。
本書のターゲットとしては中間管理職であるビジネスマンになるが、中間管理職が取るべき具体的な思考・行動レベルで書かれているため、まずは自身のチームで少しずつ実践を積み重ねていき、効果検証をしていく、ということを考えてもいいのかもしれない。

マネージャーの仕事は何よりも「チームの成果を上げること」であると改めて思い出させてくれた一冊。

章の構成

  • はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか?
  • 序章 リーダーの仮面をかぶるための準備 ── 「錯覚」の話
  • 第1章 安心して信号を渡らせよ ── 「ルール」の思考法
  • 第2章 部下とは迷わず距離をとれ ── 「位置」の思考法
  • 第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる ── 「利益」の思考法
  • 第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな ── 「結果」の思考法
  • 第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく ── 「成長」の思考法
  • 終章 リーダーの素顔
  • 「おわりに」に代えて ── 私たちの成長の話

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