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チームづくりの教科書: マネジメントのめんどくさいをすべて解決する

著者:高野俊一
発刊:2022-06-29
カテゴリマネジメント
対象読者管理職

書評

チーム作りに悩む全てのリーダー・マネージャーへ

著者は組織開発コンサルタントとして、日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験している高野俊一氏。
おそらく多くのリーダー・マネージャーが、良いチームを作り上げていくためにどうすれば良いのか日々悩んでいるのではないだろうか。かくいう私もその一人。前職でも現職でもマネジメントをする立場として、チーム作りに励んでいたが、いかんせん人を扱うことは難しく、苦労の連続で思い通りにならないことばかりである。
本書では、そういった高い目標に向けて突き進む良いチームを作り上げていくために必要なノウハウを体系的にまとめられている。

まず良いチームを作り上げていくためには下記の6つが重要だという
①「目標」を掲げる
②「関係性」を作る
③「主体性」を引き出す
④「弾み車」を回す
⑤「勝手に成長する」仕組みを作る
⑥「リーダーシップ」を磨く

関係性の構築よりも目標を掲げることが先だ、ということは少し意外であった。
私自身先ずは関係性を作ってから、チームとして目指すところを話していかないと、ついてこないのでは?と考えていたが、筆者はそうではないという。
関係性を作ることを先に行うと、どうしても部下に迎合した関係になってしまい、単なる「仲良しクラブ」になってしまいやすいという。そうではなく、先に目標を掲げることで、目標をベースとしたコミュニケーションをとることができるので、先に目標を決めて掲げていくことが重要だという。
確かに私の経験上、関係性の構築に執着してしまうと、ただの緩いチームになってしまった経験があり、苦い思い出である。

また本書では上記6点を推し進めていくにあたっての具体的なテクニックに関する記載もあり、明確なアクションとして落とし込みやすい。
例えば「BAF法」。目標を掲げるにあたって、単なる売り上げ目標だけでなく、皆が共感できる目標であることが大事だという。
ただこの目標の立て方が非常に難しいと個人的に思っていたが、そこで活用できるのがこのBAF法である。
Before After Futureの頭文字を取ったものであり、自身の過去のネガティブな原体験から(Before)、同じような思いをして欲しくない(After)、だからこそ将来はこんな姿を目指したい(Future)、という構成で目標を語ると、皆が共感しやすい目標になるという。

部下との関係性を高めていくには
愚痴を聞く→困りごとの解消→役割分担(仕事を任せる)→期待事項の伝達→共に喜び悔しがる
というフローを踏んでいくのが良い、という。

主体性を生み出すには
リーダーからの質問による「問い」→Must/CanからWantを引き出す→利己的欲求を利他的欲求に昇華
といったことが重要だという。

など、良いチームを作り上げるための様々な具体的内容まで記載がされている。
個人的にはMust/CanからWantを引き出す、ということは新しい発見であり、ぜひ試していこうと思う。
やはり部下のやりたいことをヒアリングしようにも、本人自身にもやりたいことがない、ということは往往にしてあり、それをどう定めていくか、ということは悩みの種であった。
Wantがない状態の場合は、Mustの業務に向き合う中でCanを増やしていくことで、Wantを見つけられるようにしていきたいと思う。

チーム作りに悩む全てのリーダー・マネージャーに読んでいただきたい一冊である。

章の構成

  • 第0章 チームづくりがすべて
  • 第1章 「目標」を掲げる
  • 第2章 「関係性」をつくる
  • 第3章 「主体性」を引き出す
  • 第4章 「弾み車」を回す
  • 第5章 「勝手に育つ仕組み」をつくる
  • 第6章 「リーダーシップ」を磨く

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