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ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図

著者:リンダ グラットン
発刊:2012-09-28
カテゴリ働き方
対象読者その他

書評

2025年はどのような働き方になっているのだろうか、未来の働き方に迫る

インターネットの登場により、世界中の人々の生活は大きく変わった。
そしてインターネットは働き方においても同様に、人々の生活を大きく変えることになった。

インターネット登場前は、仕事においての連絡は、直接会うか電話・FAX、手紙といった程度の手段だけであった。
取引先や関係者と連絡を取り合うのは1日1回あるか無いか、といったところで、コミュニケーションを取るのは、現在と比べると比較的手間のかかる作業であった。

それが現代では、メールや様々なチャットツール、skypeなどのカメラ付き電話など、非常に簡単に連絡を取り合うことができるようになった。
そのことが、生産性を高め技術革新のスピードを比べ物にならないほどのスピードにし、人々の暮らしをより豊かに変えた。
と同時に、人々の心には以前ほどの余裕がなくなってしまっている。休日であっても取引先からの連絡が確認できるようになり、休日も仕事をしているかのような感覚に陥ってしまっている。

現代の日本は、技術革新やグローバル化等により、経済的には豊かな暮らしができるようになった反面、心の豊かさは失われつつあるようだ。

本書は2012年に書かれた本であるが、2025年の世界の働き方を想像のもと描いている。
筆者が2025年の世界を想像する上で、大きな要因としているのは
テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構成の変化と長寿化、社会の変化、エネルギー・環境問題の深刻化 といった5つの要因である。

2025年には人々は、より世界の人たちと共同で仕事をするようになるが、環境問題やテクノロジーの進化から、家に居ながらにしてグローバルな仕事をこなしているようになるという。
また現在の発展途上国が世界経済に対して大きな影響を与えるようになっており、現在の先進国の人々であっても、スキルの低い人は、より下層の暮らしに制限されるようになるという。

私がこの書評を書いているのは2017年であるが、まさに筆者が描いた2025年の生活に近づいている、と実感する。またそれ以上に、2025年よりも速く、筆者が想像した世界がやってくるのでは?と考えられるほど、ここ最近は異常なスピードで社会は変化している。
人工知能やVR、ARなど数年前には聞いたこともなかった技術が私たちの生活を取り囲むようになってきている。

筆者が思い描く2025年の世界の大半の事象は、私は実際に起こると考えている。

実際に日本でも在宅勤務者はここ数年で大きく増加し、グローバルな仕事も一気に増えている。
暮らしは豊かになっているのに、うつ病患者や自殺者は増加傾向にある。

その上で、企業や個人がどのようなスキルを身につけ、どのような生き方を希望するか、一度じっくりと考えてみる必要があるのではないだろうか。

章の構成

  • プロローグ 働き方の未来は今日始まる
  • 序章 働き方の未来を予測
  • 第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
  • - 第1章 未来を形づくる五つの要因
  • 第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
  • - 第2章 いつも時間に追われ続ける未来 - 三分刻みの世界がやって来る
  • - 第3章 孤独にさいなまれる未来 - 人とのつながりが断ち切られる
  • - 第4章 繁栄から締め出される未来 - 新しい貧困層が生まれる
  • 第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々
  • - 第5章 コ・クリエーションの未来 - みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
  • - 第6章 積極的に社会と関わる未来 - 共感とバランスのある人生を送る
  • - 第7章 ミニ起業家が活躍する未来 - 創造的な人生を切り開く
  • 第4部 働き方を<シフト>する
  • - 第8章 第一のシフト - ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
  • - 第9章 第二のシフト - 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
  • - 第10章 第三のシフト - 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
  • エピローグ 未来のために知っておくべきこと

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