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渋谷ではたらく社長の告白

著者:藤田 晋
発刊:2013-06-27
カテゴリ経営・起業
対象読者学生

書評

ITベンチャーの雄サイバーエージェント 波乱万丈の創業物語

本書は私の職業選択において、おそらく最も影響を与えた書籍である。

起業をしてたった数年で上場を果たし、紆余曲折がありながらも現在も急拡大を続けるサイバーエージェント。
本書は、ベンチャー企業の成功物語の鏡とも言えるサイバーエージェントの創業物語である。

私はこの本を大学3回生の冬、就職活動の真っ盛りの時期に読んだ。
もともとベンチャー志向で、大企業よりは規模の小さなベンチャー企業、そして将来的には起業をしようと思っていた私であったが、それでも、せっかくそこそこの大学に入って大企業への道も開かれているのに、本当にその道が正しいのか、というところに対して、明確な自信は持てていなかった。

そんなとき、自分のキャリア観を深めるためにも何かしら本を読もうと思い本書を手に取った。私は大きな感銘を受けた。
読み終わった頃には、自分も起業をしようと固く決意していた。

本書は、サイバーエージェント社長の藤田晋氏自らが筆を取った本である。作中にもあるが、筆者はもともと作家を目指していた時期もあった、というだけあって、非常に読みやすく面白い。社長自身が書いた本なので当時の喜びや苦しみを非常に間近に感じることができる。

筆者の幼少期から、起業をして上場し、その後の模索期を描いた自伝であるが、やはりベンチャー企業特有の組織の急拡大には非常にワクワクした。
今となってはあまりいい働き方とは言えないが、それでもまずは最低週100時間働くことで自然と仕事を増やしていった、とのこと。
自分も学生ながらに、将来はそういう働き方をしようと参考にした(実際社会人最初の2年間はそのように働きました…しんどかった。笑)

また上場後の暗黒期の話は、上場の良し悪しや経営者の苦しみをありありと知ることができた。
経営者は孤独である、とよくいうが、実際は多くの味方がいる。それでもそのように感じるのは、やはり経営者の苦しみは経営者にしかわからないのだろう。

様々な職業観があってしかるべきだとは思っているが、それでも筆者の山あり谷ありの人生を読んでいると、全てを自分で決断しているからこその喜びと苦しみを味わっているように感じる。
私はそれこそが自分の求めていた生き方だと感じた。
起業をして喜びも苦しみも全て自分で受け入れる生き方をしたいと。

そのまま私は社員は社長一人、という会社のドベンチャー企業に就職し、当時のサイバーエージェントに近いような働き方をしている。
大変ではあるが、非常にスリリングで面白い。
この本に出会えてよかったと思う。

本書は、上記でも書いた通り非常に読みやすくなっているので、当時の私のように今後就職活動を控えた学生の方にも読みやすいと思うし、将来を考える上で参考になる本である。
自分のキャリアに悩む社会人にもぜひ読んでいただきたい一冊。

章の構成

  • プロローグ
  • 一章 裏切り、それでも手放せなかった夢
  • 二章 ゼロからの起業
  • 三章 ネットバブル化の波に乗る
  • 四章 バブル崩壊、孤独と彷徨
  • 五章 ランナーズ・ハイ
  • あとがき

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