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人を動かす

著者:D・カーネギー
発刊:1999-10-31
カテゴリマネジメント
対象読者管理職

書評

マネジメント本最大のロングセラー。部下との関係に悩むすべての人へ。

私が本書を読んだのは、自分の部下数名が会社への不満(私への不満もあったのだろうと思う。)退職し、私自身のマネジメントの方針に迷いが生じていた時であった。
それ以降、本書は私のマネジメントにおけるバイブルになっている。

私は、当時10名程度と小さな組織ではあったものの、会社のNo.2として日々奔走していた。

No.2とはいえ、どちらかというとマネージャーではなくプレーヤー寄りの仕事スタイルで、部下と一緒に前線でクライアントとのやりとり等をしていた。
そんな仕事スタイルもあり、私の部下に対してのマネジメントは、業務指示程度にとどまり、部下の考え方やキャリア観、プライベートの優先したい事項など、聞いたことも考えたこともなかった。

褒めることもなく、できていないところを指摘するだけ。自分が長時間労働をいとわないから部下にも無意識にプレッシャーをかけている。今思うと最悪な上司だったが当時の私にはそれが全くわからなかった。

そんな時に、突きつけられた部下数名からの退職届。
私が社会人2年目の6月のことだった。

少し前から組織がガタガタになっている感じはあり、部下が辞めそうな雰囲気は感じ取っていたものの、私はそれを改善しようとすることもなかった。
というよりもどう改善すればいいのかがわからなかったのである。

自分は売り上げを上げるために一生懸命頑張っているのに、なんで自分についてきてくれないのか。私にはわからなかった。
部下の退職は、まるで自分の人格を否定されているように感じ、当時は精神的に大きなダメージを受けた。

そこで私はマネジメントの本をひたすら買いあさり、本書に出会った。
自分のマネジメントスタイルとは、正反対の内容が書かれており、非常に驚いた。

筆者であるデール・カーネギーが提言するマネジメントは「人を褒めて、認めて、信じて、興味を持つ」こと。
怒るマネジメントは最悪である、と。

そこで初めて私は、自分のマネジメントがいかにダメなものであったか気づいたのである。

以降、部下に対しては徹底して「褒めて認めて信じて興味を持つ」ように自分のスタイルを変えた。
最初は慣れないため、少し褒めるということも難しかったが、それでも組織の雰囲気・部下との関係は非常に良くなった。
褒めて認めて信じて興味を持津ようにすれば、部下も楽しそうだし、自分自身も怒っている時より仕事が楽しくなった感じがする。

今でも仕事の忙しさにかまけて部下とのコミュニケーションが足りない、と思うこともあるが、それでも部下から飲みの誘いや休日にも誘ってもらえるほどの関係になった。

結局のところ、マネジメントとは、部下をどれだけ愛せるか、ということだと気づいた。
本書が私に教えてくれたことである。

章の構成

  • 第一部 人を動かす原理
  • - 第一章 盗人にも五分の理をみとめる
  • - 第二章 重要感を持たせる
  • - 第三章 人の立場に身を置く
  • 第二部 人に好かれる法六
  • - 第一章 誠実な関心をよせる
  • - 第二章 笑顔を忘れない
  • - 第三章 名前を覚える
  • - 第四章 聞き手にまわる
  • - 第五章 関心のありかを見抜く
  • - 第六章 心からほめる
  • 第三部 人を説得する法十二
  • - 第一章 議論をさける
  • - 第二章 誤りを指摘しない
  • - 第三章 誤りをみとめる
  • - 第四章 おだやかに話す
  • - 第五章 “イエス”と答えられる問題をえらぶ
  • - 第六章 しゃべらせる
  • - 第七章 思いつかせる
  • - 第八章 人の身になる
  • - 第九章 同情をもつ
  • - 第十章 美しい心情に呼びかける
  • - 第十一章 演出を考える
  • - 第十二章 対抗意識を刺激する
  • 第四部 人を矯正する法九
  • - 第一章 まずほめる
  • - 第二章 遠まわしに注意をあたえる
  • - 第三章 自分のあやまちを話す
  • - 第四章 命令をしない
  • - 第五章 面子をうしなわせない
  • - 第六章 わずかなことでもほめる
  • - 第七章 期待をかける
  • - 第八章 激励する
  • - 第九章 喜んで協力させる
  • 第五部 奇跡的効果をおさめる手紙
  • 第六部 家庭を幸福にする法七
  • - 第一章 口やかましく言わない
  • - 第二章 長所をみとめ
  • - 第三章 あらさがしをしない
  • - 第四章 ほめる
  • - 第五章 ささやかな心づくしを怠らない
  • - 第六章 礼儀をまもる

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