これからの世界をつくる仲間たちへ
著者:落合 陽一
発刊:2016-03-28
カテゴリ自己啓発
対象読者その他
章の構成
- プロローグ 「魔法をかけられている人」になるか、「魔法をかける人」になるか
- 第一章 人はやがてロボットとして生きる?
- 第二章 いまを戦うために知るべき「時代性」
- 第三章 「天才」ではない、「変態」だ
- エピローグ エジソンはメディアアーティストだと思う
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書評
人工知能時代を生き抜くために必要なスキルとは?
人工知能の誕生により、人間の仕事の多くが機械に奪われる、という話は誰もが聞いたことがあるのではないだろうか。
またそれとは逆に、人工知能の出現により、人間は退屈な単純作業から解き放たれ、クリエイティブな部分のみを担当することができるようになり、より豊かな暮らしができるようになる、という意見もある。
人工知能社会はどのような世界に向かい、我々はそれに対してどのように向き合えば良いのであろうか。
本書では、そういったインターネットや人工知能がより発展していく21世紀をどのようにして生きていくのが正しいのか、ということが書かれている。
産業革命やその後の機械の発達によりブルーカラーの多くの仕事は奪われたが、今度は人工知能によりホワイトカラーの仕事もが奪われようとしている。
従来はブルーカラーよりもホワイトカラーがより高給を得ていたが、これからは、ブルーカラー・ホワイトカラーとも異なる「クリエイティブクラス」と呼ばれる人材が重宝されるようになっていく、と筆者は主張する。
クリエイティブクラスとは、形式知ではなく暗黙知、つまりマニュアル化できないスキルを持った人材のことである。
自分以外誰もできないスキルを持った人材、とも言い換えることができる。
マニュアル化できる仕事というのはプログラムすることができるため、人工知能でも対応することができる仕事である。
そのためマニュアル通りの仕事をしている人は人工知能に仕事を奪われる可能性が高い。
これまでは決められた物事を的確にこなす、処理能力の高いジェネラリストが重宝されていたが、これからは多くの暗黙知を持つスペシャリスト=クリエイティブクラスが大きな力を持つであろう、というのが本書の主張である。
本書を読んで感じたのは、人工知能により利益を享受できる人間と、人工知能により経済的に苦しむ人間が二極化するであろう、ということである。
人工知能に仕事を奪われることなく、人工知能を使いこなす側のクリエイティブクラスには多くの富が流れるが、逆に人工知能に仕事を奪われた側の労働者は、人工知能の下請けとして生きる道しか無く、そこに残されているのは低賃金・重労働の搾取のみである。
需要と供給の経済原理から考えても代替可能な存在には富は流れない。
また情報の流動性が高まる現代では、特定のスキルが陳腐化するスピードは異常なほどに早くなっており、単なるスペシャリストも生き残ることはできない。
いかに多くの(かつ役に立つ)暗黙知を持ったスペシャリストになることができるかが、21世紀を生き残る秘訣である。