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ウィルゲート 逆境から生まれたチーム

著者:小島 梨揮
発刊:2012-04-06
カテゴリ経営・起業
対象読者経営者・起業家

書評

22歳、1億円の借金、倒産の危機。若き社長はこの逆境をどう乗り越えてきたのか。

本書の筆者 小島梨揮が創業した株式会社ウィルゲートは、Webマーケティング支援を行うベンチャー企業である。
SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれるマーケットにおいては業界No.1とも言える位置を走っており、その他「コンテンツマーケティング事業」「メディア事業」と様々な事業を手掛けている企業である。
また「働きがいのある会社ランキング」ではここ5年ほどは常に上位にランクインしており、社員の士気の高さが伺える。

ウィルゲートは今でこそ、このように勢いのあるITベンチャー企業として注目をされているが、一時は「ウィルゲートショック」と呼ばれる倒産寸前まで追い込まれるほどのどん底を経験している。

ウィルゲートはどのような苦難に遭遇し、それをどう乗り越えてきたのか。
本書では、ウィルゲート社長 小島氏の生い立ちから、同社創業、そして逆境、V時回復から今に至るまでのありのままをリアルに描いている。

本書の著者 ウィルゲート社長の小島梨揮は1986年生まれ。まだ30代前半である。
しかし小島氏は、高校在学中18歳の時にウィルゲートを創業をしているため、すでに経営者としては10年以上の経歴を持つ。

同社は創業後、小島氏が大学へ進学した後もそのまま順調に事業を拡大した。
急成長の中で1億円の資金調達を果たすなど、わずか数年で急拡大を遂げ、そのまま成長の一途を辿るかのように見えた。

しかしその後、急拡大の代償として、経営陣のマネジメント力不足が露呈。会社は一斉離職など、組織の内部崩壊により倒産の危機に陥ることとなった。

調達した資金も1年半ほどで底をつき、小島氏は22歳の若さにして1億円の借金を背負うこととなった。
それまでの成功から一転、人生のどん底へ転落したのだ。

しかし絶望の中でも小島氏は共同創業者の吉岡氏、そして残ったメンバーと共に諦めることなく奔走した。
その甲斐あり、ウィルゲートは無事V時回復を果たし、今では業界で注目される企業となった。


私が大きく心揺さぶられたのは、何と言っても共同創業者吉岡氏の存在である。
実は代表の小島氏と共同創業者の吉岡氏は小学生の頃からの大親友である。

これは知人から聞いた話であるが、小島氏が個人で1億円の借金を背負うことになった時も、吉岡氏は小島氏を見捨てることなく「俺も一緒に返すから」といってずっと小島氏の味方でいたそうだ。

一般に友人との起業は失敗しやすい、と言われている。

しかしウィルゲートが驚異的なV時回復を果たすことができたのは、共同創業者が「大親友」だったからではないだろうか。
損得感情抜きに助け合える仲間がいたからこそ、逆境をはねのけることができたのであろう。

一度は組織づくりで大きな失敗をし、そこからV時回復を果たしたウィルゲートの創業物語は、組織に悩む人に必ず大きな学びを与えるであろう。

あるべき組織とは、どういった形なのか。経営者・管理職たる人間はどのように振る舞うべきなのか。社員とどのように向き合うべきか。
会社組織への悩みを持つ経営者・人事担当の方には是非一度手に取っていただきたい。

章の構成

  • 第1章 18歳の起業家 2003年4月~
  • 第2章 ゼロからの創業 2005年4月~
  • 第3章 資金調達、急拡大を目指して 2006年7月~
  • 第4章 ウィルゲート・ショック 2008年4月~
  • 第5章 崩壊から再生へ 2008年10月~
  • 終章 逆境から生まれたチーム 2010年4月~

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