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なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣

著者:ケリー・グリーソン
発刊:2015-03-18
カテゴリスキルアップ
対象読者新入社員

書評

「すぐにやる」ことがビジネスでうまくいく方法である。

 仕事の仕方に関するビジネス書である。この本は主に、仕事の効率化について書かれている。著者のケリー・グリーソンは、能率向上プログラム(PEP)というものを考案したビジネス・テクノロジー協会という組織の会長であるが、彼が開発したPEPプログラムの内容に沿って書かれたのが、本書というわけだ。仕事の効率化という点において、実によく出来た本であると感じた。

 この本では、仕事の能率化を8つに分けて紹介している。最初に、強く推薦されているのは、「すぐにやる」事である。仕事の能率化というと、効率よく仕事を行う順番を計画し、その順番で仕事を遂行する、こういう方法を思い浮かべる人も少なくないだろう。しかしこの本では、とにかくすぐにやる事を推奨している。冒頭の2章がまさにそれで、第1章のタイトルは「すぐにやる!」、第2章は「すぐに整理する」である。

 例として、こんな事が紹介される。オフィスにつき、メモを見て「そうだ、あの人に電話しなければ」と思う。次に、顧客からの苦情のメールを見る。次に、やらなくてはいけない仕事のチェックをする。そして、計画を立てる。こういう仕事の仕方をすると、あとでもう一度同じメモやメールをチェックしなくてはならなくなる。実際の仕事をしたわけではなく、仕事のチェックに2倍の時間を要しているというわけだ。そうせずに、メールやメモをはじめてみた時に、その仕事にすぐに取り掛かる事を、この本では推奨している。すぐにやるという事が、まず強調されているわけだ。

これで、実際の仕事に取り掛かる以前の仕事の浪費時間を大幅に節約している。こうした効率化を遂行する為に、この本では8つの鉄則を設けている。うち、ふたつだけを紹介すると、以下のようなものだ。「書類を読むのは一度ですませる。」「重要でない仕事を先に終わらせる。」

 この「すぐやる」という大前提をもとに、それ以降の仕事術が提案されていく。第2章の、何度も見ずに一度で済ませるためのデスクやメールの整理法についてなどは、その典型である。しかし、本書の「効率化」という面から見た仕事術のエッセンシャルな部分が凝縮されているのは、第3章である。例として、仕事に優先順位をつけるより、端から機械的にこなす方法が紹介されているが、これなどは効率化という本書の特徴がよくあらわれている。すぐにやる仕事についても、似たような内容の仕事をひとまとめにやった方が効率が良いとされ、推奨される。
 これらの「同じ事を2度3度して時間をロスしない」という大前提をもとに、最後に仕事の計画の立て方、仕事の確認作業、修正作業などがプログラムされている。このプログラムが、実によく出来ており、優れた仕事術の本だと感じた。

 本書を読む限り、本書でいう仕事とは、おもにオフィスワークの事であると思うが、実際にこの能率向上プログラムというものは、経営者や個人事業主、フリーランスで仕事をしている人など、自分で自分の仕事や仕事時間を決める人にも適していると思われる。
また、ビジネスマンに限らず、学生などにもた有効に活用できる仕事術の本である。

章の構成

  • 1 すぐにやる!
  • 2 すぐに整理する
  • 3 機械的に行なう作業を決める
  • 4 すぐに計画する
  • 5 再確認と仕上げ
  • 6 すぐに正しくやる
  • 7 歩きまわりコミュニケーション
  • 8 すぐに整備する

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