ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
著者:ジョン・ケープルズ
発刊:2008-09-20
カテゴリスキルアップ
対象読者ライター
章の構成
- 第1章 これが新しい広告戦略だ
- 第2章 広告は見出しが命
- 第3章 どんな見出しが1番注目されるか
- 第4章 効く見出しはこう書く
- 第5章 35の見出しの型──その効果は検証済み
- 第6章 どんぴしゃりの訴求ポイントを見つけるには?
- 第7章 「テスト済み広告」と「テストしない広告」
- 第8章 熱意を込めてコピーを書く方法
- 第9章 コピーの出だしはこう書く
- 第10章 効くコピーはこう書く
- 第11章 コピーの売込み効果を高める20の方法
- 第12章 誰もがぶつかる問題を避ける方法
- 第13章 こうすればもっと問合せが増える32の方法
- 第14章 最大数のお客にアピールする方法
- 第15章 どんなレイアウトとビジュアルが1番注目されるか
- 第16章 小スペース広告で利益を上げる方法
- 第17章 頭の体操10問──成功した見出しはどっち?
- 第18章 広告をテストする17の方法
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書評
「科学的広告」にもとづくコピーライティングの本質とは
この本の著者であるジョン・ケープルズという人物は、アメリカの広告業界で58年間も第一線で活躍し続けた伝説的コピーライターとして有名である。そして今回ご紹介するこの『ザ・コピーライティング~心の琴線にふれる言葉の法則』は、約80年ほど前に出版され、こちらも「伝説」のバイブルとして読み継がれてきた。
世界の広告業界の重鎮たちも絶賛するこの本であるが、なぜ、これほどまでに多くの人々の支持を得ることができたのだろうか?
この本はタイトルどおり「コピーライティング」の本であり、著者の経験に基づいたコピーライティングに関するテクニックや事例が豊富に記載されている。そのページ数431ページ。いかにボリュームがあるか、このページ数からも想像できるだろう。
しかし、この本で語っている「コピーライティング」は、日本のほとんどの広告会社で使われているいわゆる「コピー」とは、多少毛色の異なるものである。
日本の広告業界で使われている「コピー」とは、その多くが「キャッチコピー」を指し、企業や商品・サービスのイメージアップを図るものや、インパクトを残すことをその役割としているため、少々極論を言わせてもらえば「コピー」でモノやコトが売れようが売れまいがあまり関係ないのである。いや、正確に言えば、そのような責任を負っていないのが「コピー」なのである。
しかし、ジョン・ケープルズが語る「コピーライティング」は違う。文章でモノやコトを直接顧客に売ることを最大の目的としているため、言葉が人の行動(消費行動)を促すよう巧みに考えられているのである。
ジョン・ケープルズの「コピーライティング」の根底に流れているのはダイレクト・レスポンス・マーケティングであり、心理学である。つまり、どこかアーティスト然としているコピーライターが作るコピー「作品」ではなく、商品やサービスを徹底的に売ることを目的としたセールス文章なのである。
その経験に裏打ちされたテクニックはかなり緻密にできている。
1行目から2行目、3行目へと読者に読んでもらうための限界文字数量や効果的な見出し、問い合わせが増えるオファーなど、盛りだくさんに掲載されている。
一般的に「コピー」というと、デザインなどと同様に感性やセンスが必要と思われがちであるが、「コピーライティング」にはリサーチや観察、人の行動に対してどれだけフォーカスできているかといったことが必要であり、まさに科学だということが理解できる。
だからこそ、この本は広告業界で働く者、広告業界を志す学生ばかりでなく、広く様々な人々に読んでほしいのである。
今はインターネットが全世界に普及し、SNSなどを通して個人が世界に簡単に情報発信ができる時代であるが、その情報発信手段の要となっているのが「文章」であり、心を動かすことのできない文章は、今後捨てられてしまうだけの情報となってしまうだろう。
どんな言葉やどんな書き方が人の行動を促進し刺激するのか?この本にはそんなヒントが満載なのである。