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脳から変えるNo.1社員教育 (社員が驚くほど意欲的に動くプログラム)

著者:西田 一見
発刊:2015-02-13
カテゴリ採用・育成
対象読者管理職

書評

ゆとり世代・さとり世代とどのように向き合うべきか。

脳科学を駆使した能力開発で有名な西田一見(はつみ)氏が書いた、社員教育についての本が「脳から変えるNo.1社員教育 (社員が驚くほど意欲的に動くプログラム)」だ。
現代では非常に扱いにくい新入社員が増加していると言われてる。そんな中にあって、どうすれば社員教育を進めていけるのか?を大きなテーマとしている。
内容としては、現代の若者いわゆる「ゆとり世代」さらにその下の「さとり世代」に対しての扱い方が詳しく書かれていた。
ゆとり世代はその上の世代とは違い、いわゆる詰込み型教育ではないため「自由すぎる」傾向にあると言われている。そのため教育する立場にある人は、現在ではとても苦労が多く、同様の本もよく出版されているようだ。

具体例として「おつかい」が書かれているが、これはもちろん仕事内でのおつかいの事だ。
ゆとり社員は頼まれた品がお店に無かったら、何も対応策を考えずそのまま帰ってくると言う。しかしその都度「無かったら、ほかの店も探してね」と注文を付けてあげれば、素直に聞くとも書かれている。 確かにこれはゆとり社員の特徴だと思い当たる。
現に他のビジネス書でも、ゆとり社員の説明をする際に「おつかい」を例を挙げるパターンはいくつか見受けられる。
それだけにこの例はそのゆとり傾向を、ズバリと言い当てているのだろう。

この西田氏の本の場合は脳の特性から物事を考えているため、この例では「自己防衛本能」を仮説に立てている。
どういう事かと言うと、注文の品が無かったとして自分から対応手段を考えると責任が生じて来る。そして「責任を取りたくない」訳では無く、無意識に本能が働いて責任を取れない行動を取っているのだ。

この説は非常に私にとって為になる話だと感じた。
ゆとり教育の仕組み、その結果どうなったかを考えていき傾向を探る事で対策がいくつも浮かんでくる。さらには「さとり世代」についても話題は及んでいる。「やはり詰込み教育も大事だ!」と方向転換され始めた、境目に生きる世代の事だ。
ゆとり社員にも言える事なのだが、さとり社員の場合はさらに輪をかけて「欲が無い」と言われている。

西田氏はネットツールの発達も、価値観に影響しているとこの本で書いている。
非常に私自身も身につまされる思いであるが、そうやって育って来た世代がそういう社会人になるのも自然なのだろう。

しかし本書はゆとり世代・悟り世代に対して、説教的というスタンスでは無い。
淡々と新入社員の特徴を書き、その扱い方を具体的な「話し方・コミュニケーション方法」を挙げながら端的に説明している。今の管理職社員にとっては、とても「なるほど!」と思える箇所がいくつも見つかるのでは無いだろうか。

西田氏は、脳や深層意識に生活習慣をテーマにしたものをとても多く書いている方である。
しかし本書には深層意識など漠然とした成分は、あまり入っていないように感じた。どちらかというと例などを交えた具体的な内容が多く非常に読みやすい。
西田氏を読みたい方は、まずはこの「脳から変えるNo.1社員教育」をオススメする。

章の構成

  • はじめに
  • 序章 イマドキに育った若手社員たち
  • 第1章 社員教育がうまくいかない理由
  • 第2章 脳から変える№1社員教育 基礎編
  • 第3章 脳から変える№1社員教育 理論編
  • 第4章 脳から変える№1社員教育 実践編
  • 終章 イマドキに求められるリーダー
  • おわりに

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