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パワー・プレゼンテーション (グロービス思考シリーズ)

著者:ジェリー・ワイズマン
発刊:2004-12-04
カテゴリスキルアップ
対象読者営業

書評

プレゼンテーションの技術が体系的にまとめられている一冊

プレゼンテーションは、ビジネスでもっとも重要な能力のひとつ

ある小さな会社の経営者さんと話した時に、とてもためになるお話を聞かせていただいたことがある。

「会社経営では、営業マンが一番大事だ。それ以外の技術職や事務職は、簡単とは言わないが、それでも営業の仕事に比べれば、かわりを作りやすい。しかし営業の仕事は、個人がクライアントや仕事とつながっている。数値化しにくいが、能力差は非常に大きくあらわれる仕事だ。営業という仕事は漠然としたものに感じるかもしれないが、それは立派な技術だ。すでにある仕事をこなしていく事は簡単だ。しかし、新たに仕事を作りだすのは、柔軟に頭をつかわなければならない。企画力や説得力、プレゼンテーションなどの技術が必要な、会社のかなめとなる仕事だ。」

ビジネスでは、資格や技術などは、その技術能力を可視化しやすい。簿記の能力であれば簿記試験、英語力であればTOEIC、それ以外にもワープロ検定や秘書検定など、その技術を数値化したものがあるためだ。しかし、ビジネスの上でもっとも重要になる営業職や営業に関する能力、これは非常に可視化しにくい。ノルマを設け、そのノルマ達成率で能力を数値化しているだけという会社も少なくない。しかしこれは、営業マンにとっては、何をがんばって良いのかが分かりにくい指標だし、会社としても、抱えた社員を育てることが出来ずに発破をかける事しか出来なくなりがちだ。成績が悪いのは分かるが、なぜ成績が悪いのかが分からないからだ。結局、その場その場での断片的なアドバイスをする事がせきの山となってしまいがちな能力である、というわけだ。

プレゼンテーションの技術をまとめ上げてある本

あらたなビジネスを作りだす際に、もっとも重要になる能力のひとつが、プレゼンテーションである。この技術は、たしかに数値化しにくい。しかし、大元になるメソッドというものがいくつも確立されている。この「パワー・プレゼンテーション 説得の技術」という本も、プレゼンテーションの技術をメソッド化したもののひとつだ。企画力にしてもプレゼンテーション能力にしても、それを本当に自分の持っている技術にしようと思うのならば、自己啓発本のようなものではなく、メソッドとして完成されているものを読んだ方が、圧倒的に効率が良いだろう。プレゼンテーションに本当に必要なのは、やる気やがんばる事ではなく、技術である。

この本の著者であるジェリー・ワイズマンは、プレゼンテーションのコンサルタントである。彼が指導している会社は、ヤフー、イーベイ、マイクロソフト、インテルなど、海外の一流会社が揃っている。もし、これからプレゼンテーションの技術を身につけたいと思っているなら、自己啓発本や著者の人生哲学が書かれているものでなく、プレゼンテーションの技術を体系化したこうした本に当たられたほうが、圧倒的に有利だ。この本は、プレゼンテーションの名著である。

章の構成

  • 第1章 説得力のあるプレゼンテーションとは
  • 第2章 聞き手にメリットをもたせる
  • 第3章 創造的な作業:ブレインストーミングを活用する
  • 第4章 話に流れをつくる
  • 第5章 聞き手の心を一瞬でつかむ
  • 第6章 視覚に訴える
  • 第7章 文字に語らせる
  • 第8章 数字に語らせる
  • 第9章 主役は発表者である
  • 第10章 話に息吹をもたらす
  • 第11章 プレゼンテーションをカスタマイズする
  • 第12章 メジャー・リーグのマウンドに登る

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