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考具 ―考えるための道具、持っていますか?

著者:加藤 昌治
発刊:2003-04-04
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書評

「アイデアの出し方」について徹底的に解説します。

この『考具』の初版が出版されてから、もうすでに15年近くの時が過ぎようとしているが、いまだに色褪せることがなく、この本は現在でもamazonのカテゴリー別ランキングでベスト10に入る名著となっている。

この著者である加藤昌治氏は、株式会社博報堂に勤務しており、PR戦略局部長などを勤めた、まさに企画とアイデアのプロである。その加藤昌治氏がアイデア出しについて、とにかくわかりやすくまとめて解説したのがこの『考具』である。

この本が出版された約15年前、いや、それ以上前からビジネスの現場では、男女に関係なく考えることを求める時代に入っていた。そして現在でも、インターネットが普及し、オウンドメディアによる企業の情報発信、SNSなどの個々が簡単に情報発信できる時代になり、もはやすべての仕事はもちろん、就職活動を行なう学生から企業の経営を考えるエグゼクティブまでが、より考えなければならない時代になったわけである。

しかし、企画はもとより、その元となるアイデア出しについても、躓いてしまう人は意外なほど多い。つまり、アイデアの出し方やその考え方がわからずに悩んでしまう人がたくさんいるというわけだ。実際、巷で販売されている企画やアイデア、それに発想などに関連する本の多くは、デザインや体裁としての企画書作成の本であったり、その心構えを説くような本であったりすることも多く、実践向きではなかったりもする。

そんな市場環境の中、誕生したのがこの『考具』であるが、著者独特のやわらかい語り口が特長で、アイデア出しの現場で実際に使われている方法が満載のため、とにかく使いやすいことが魅力である。

加藤昌治氏は、「アイデア出しは丸腰で臨んでもうまくはいかない。しかし、考えるための道具を持っていない人があまりにも多いため、この“考具”を出版した」と述べている。

この本には、今やビジネスの現場ではすっかり有名になった「フォトリーディング」「マインドマップ」「ブレーンストーミング」などの他、様々な“考具”を紹介している。
特に同じ色をただひたすらに追いかけ集めることでヒントが得られる「カラーバス」や手塚治虫氏の漫画のキャラクターのように演じることで、そこから発想の気づきを得られる「七色いんこ」などの手法は、出版された当時はもちろん、今でも斬新である。

そして、この本にはアイデアに関わるすべての人を勇気づけるある一文が記載されている。

それは「アイデアとは既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない」という文である。
アイデアを出したり、企画立案を求められると、まるで「発明」を求められたかのように頭が動かなくなってしまう人もいるが、アイデアというのはすでに存在するアイデア同士を組み合わせたものに過ぎないと著者は述べている。

年齢や性別を問わず、ビジネスの現場で求められる「考えること」であるが、この本に紹介されている手法はまさに“考具”であり、たくさんのヒントをもたらせてくれるため、一読の価値はある。とにかくおすすめの本なのである。

章の構成

  • 序章 広告会社でも最初は「ただの人」。今からでも全く遅くない!
  • 第1章 「アイデア」「企画」を考えるとは、何をすることなんだろうか?
  • 第2章 どうしたら“必要な情報”が入ってくるのか?―情報が頭に入ってくる考具
  • 第3章 展開・展開・展開!―アイデアが拡がる考具
  • 第4章 企画=アイデアの四則演算!―アイデアを企画に収束させる考具
  • 第5章 時にはスパイスを効かす!―行き詰まったときのアドバイス
  • 第6章 あなただけの『考具』を見つけよう!
  • 終章 頭の動き方がシステム化することこそ、本当の『考具』かもしれない

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