
ミレニアル起業家の 新モノづくり論
著者:仲 暁子
発刊:2017-09-15
カテゴリ自己啓発
対象読者その他
章の構成
- 第1章 取り残される日本
- 第2章 トライブの見つけ方
- 第3章 新モノづくり時代の事業戦略
- 第4章 トライブをつくる
- 第5章 この国の未来
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書評
ミレニアル世代における正しい生き方とは。
本書の著者はwantedly株式会社創業者の仲 暁子氏。wantedly株式会社は日本最大のビジネスSNS「wantedly」を運営している会社である。
私もwantedlyは採用のためによく利用しており、実際ビジネス意識の高い若手ビジネスマンが多い印象である。中でもwantedlyのサービスで特徴的なのが、本書にも書かれているが待遇や福利厚生といった一般的な求人メディアでは必須と考えられている内容が一切書かれていない、ということ。その代わり他のメディアと比べて、「何をやっている会社か」「何のためにやっている会社か」といったストーリーやwhyの部分に重点を置いた求人メディアである。
実はここが本書の内容と強くリンクする。
1982年以降に生まれた世代(いわゆるゆとり世代・悟り世代とも呼ばれる)のことを筆者は「ミレニアル世代」と呼んでいる。ミレニアル世代はそれより上の世代と大きく趣向が異なる。
その中でも大きな特徴としては、所有よりもアクセスできることに重点を置いていること、お金よりも「何のため」という意義を重視すること、などがあげられる。
ビジネスSNS「wantedly」はそういったミレニアル世代の特徴を捉えていたため、あえて待遇を記載せずに、何のためにやっている会社なのか、ということがよりわかりやすいようなUIになっているのである。
しかし上の世代はミレニアル世代のこういった違いを全く理解していないため、間違ったマネジメントを行い日本を停滞させている、ともいっている。
今の世代は残業をしてお金を稼ぐよりも、ほどほどの稼ぎでいいから自分のやりたいことに時間を割きたいのである。
インターネットを駆使した生産性の高いスタートアップが生まれる環境を作ろうとすると、こういったことへの理解が必要である。
今後日本の労働人口の減少は確実視されており、また人工知能の出現により単純作業の労働者は駆逐されて行くことも確実視されている。労働のあり方や組織のあり方もどんどん変わって行くであろう。
そんな中で生きていかなければいけない私たちミレニアル世代は、これまでとは異なる働き方をして行くことになる。自分の時間を切り売りしてお金を稼ぐ製造業の時代とは異なり、自分が人生をかけてでもやりたいこと(トライブ)を見つけて、そこでお金を稼ぐことが一般的になって行くであろう。
そのためにはまずは自分のことをよく知ること。自分が何をしたいのか。何が自分のモチベーションの源泉になるのか。
自分のペースで納得感のある人生を歩んで行くことが各人の幸福につながって行くはずである。