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サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門

著者:三戸 政和
発刊:2018-04-20
カテゴリ経営・起業
対象読者管理職

書評

人生100年時代の個人M&Aの入門書

「会社を買う」というのは、どこか他人事に思っていた。おそらく大多数の人がそうであろう。
企業買収は大企業が行うことであり個人が行うことではない、と言う認識だったため、この本のタイトルが思わず気になってしまった。

起業しよう!と意気込む若者向けの書籍かと思って手に取ったが、内容としては大企業で働く4,50代のサラリーマンに向けての内容であった。
今後の長寿命社会への資産形成の一つのススメとして中小企業の買収を勧めている、と言うものである。

現在の長者番付け上位に位置するのは全て起業家・創業者・またはその親族である。
しかし0からの起業で成功するのはおそろしいほど難しい。そこで筆者が勧めているのが中小企業の買収である。

また昨今の時代の流れも、中小企業買収のハードルを大きく押し下げている。

国のデータによれば現在の社長の平均寿命は約60歳でその多くが後継者不足に悩んでいるという。
筆者の推測によれば後継者不足に悩む企業数は100万社程度も存在する。かつ廃業した会社のうち半数以上は黒字の状態で廃業している、とのデータも出ている。

つまり、現在は中小企業を買収するにはもってこいの時代なのである。

そして大企業でマネジメント経験を積んだサラリーマンであれば、安定して黒字を出している中小企業の経営というのは想像ほど難しくない。
中小企業ではあらゆることが非効率な状態であり、大企業で働くサラリーマンからすれば「当たり前」の仕組みを導入するだけで中小企業の業績は改善でき、投資額の回収もそこまで難しくはないのである。

筆者が、低収入しか見込めない定年後の再雇用よりも、中小企業の買収を進めるのはこういった理由からである。

確かにこう聞くと、中小企業買収というものにも私も興味を持ってしまった。また本書には買収先企業の探し方や買収金額の考え方、買収時の資金戦略なども具体的に描かれており、イメージが湧きやすいものであった。
「起業」には昔から興味があり、その中でいかに資産を築いていくか、ということは考えたことがあったが、今後は企業買収ということも視野に入れた人生設計を行いたい。

ただやはり企業を買収するというのはなかなか現実味がわかず、いろいろな不安点も出てきそうである。
特に気になったのは、買収後、社員と信頼関係を築くことができるのか、またそもそも買うべき会社をいかにして見極めるのか、というところ。そういったところまでの言及はないので、実際に行動を起こす際にはまた別の書籍を探すか専門家に聞いて見る必要がありそうだ。

章の構成

  • 序 章 「人生100年時代」は資本家になりなさい
  • 第1章 だから、起業はやめておきなさい
  • 第2章 飲食店経営に手を出したら「地獄」が待っている
  • 第3章 中小企業を個人買収せよ
  • 第4章 100万の中小企業が後継社長を探している!
  • 第5章 「大廃業時代」はサラリーマンの大チャンス

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