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読書という荒野 (NewsPicks Book)

著者:見城 徹
発刊:2018-06-06
カテゴリ自己啓発
対象読者その他

書評

大人気出版社社長が語る読書の意義とは

著者は、見城徹氏。ここ最近「多動力」や「人生の勝算」など、大ヒット作を多数出版している幻冬社の社長である。 タイトルに「読書」とあることから、読書に関してのハウツー本かと思ったが、内容は全く異なる。一言で言うならば、読書とは何なのか、を説く様な内容である。

見城氏のこれまでの半生で、それぞれの時代で影響を受けた作家・書籍を順に紹介していく形で話は進んでいく。のべ20人以上の作家が紹介されているのではないだろうか。
見城氏の書かれた本ということである程度予想はしていたが、終始非常に独特な空気が流れている印象を受ける。見城氏が影響を受けた書籍も、当時の学生運動や政治活動を交えて書かれた文学が多いためであろうか。秋元康氏の推薦文にも書かれている通り「血の匂いを感じる」内容である。

見城氏は、膨大な量の読書をすることは大切である、としながらもただ「何冊読んだ」ということを自慢げに語ることは全くの無意味としている。見城氏の語る読書の意味とは、自分一人の人生では経験できないことを味わい、自分の問題として捉え直し、他者への想像力を磨く点にあるから、大切なのは何が書いてあったかよりも、その本を読んでどう感じたか、を積み重ねていくことなのである。

多くの本を読んできた人は言葉の深みが違う、というのはよく言われることであるが、これは読書量による他者への想像力の違い、ということなのであろう。ただの情報取得のための読書では、情報の幅は広がるが決して言葉の深みはでない。
ビジネスでも最後はやはり「言葉」が大事である。特に最近では、「ストーリーテリング」(商品のストーリーをいかにうまく語れるか)がビジネス成否の鍵とも言われており、より言葉の重要性が高まっている時代である。そういった点で、本当の意味での読書はこれから大きな武器になるのである。

本書では多くの文学書が紹介されている。文学は他者の人生を疑似体験し、他者への想像力をより豊かにしてくれる。
改めて読書とはなんのために行うものか、ということを考えさせられる内容であり、だからこそ普段から読書に親しんでいる人にも、まだこれからという人にも読んでもらいたい内容である。

本書内ではいくつか、初心者にもオススメの文学書が紹介されている。文学初心者もまずはそういった本から読んでいけば良いのではないだろうか。

章の構成

  • はじめに 読書とは「何が書かれているか」ではなく「自分がどう感じるか」だ
  • 第1章 血肉化した言葉を獲得せよ
  • 第2章 現実を戦う「武器」を手に入れろ
  • 第3章 極端になれ! ミドルは何も生み出さない
  • 第4章 編集者という病い
  • 第5章 旅に出て外部に晒され、恋に堕ちて他者を知る
  • 第6章 血で血を洗う読書という荒野を突き進め
  • おわりに 絶望から苛酷へ。認識者から実践者へ

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