読書コラムColumn

漫画(マンガ)は読書とみなされるべきか?読書の定義はいかに

Date2017-11-18

漫画は、今では日本を代表する文化として、世界に広がりました。
ONE PIECE、ドラゴンボール、スラムダンク、ガンダム、ドラえもん…。
誰もが一度は読んだことがあるのではないでしょうか?

先日、久しぶりに帰省した際に部屋でのんびりと昔の漫画を読んでいたら、顔を覗かせた母に「いつまでもそんな子どもみたいな絵本を読んでないで、ちゃんとした本を読みなさい。」と言われて、愕然としました。そうか、親にとって漫画は読書ではないのかと少し悲しくなりました。

漫画を読むことは、読書することとイコールではないのだろうか?
漫画も立派な本なのではないだろうか?

なぜ漫画は読書と切り離されて認識されているのか

私の中で漫画とは、主人公の気持ちになって、その世界観を堪能することができて、一緒に楽しんだり悲しんだり、そして時には知らなかったことを学べる存在です。世間で言う読書とは何が違うのでしょうか?

専門書などは別として、小説を例とすると、活字のみの本から得られる想像力、主人公と苦楽をともにし、知識を得ることは漫画を読むこととさして違わないように感じてしまいます。

では、なぜ親世代からは漫画を読書として認識してくれないのでしょうか?

一番の違いは、やはり文字がメインなのか、絵がメインなのか、というところでしょうか?

漫画には文字だけでなく、絵が多く含まれています。そのため、文字だけの小説に比べると、脳に負担をかけることなく容易に場面が想像できる反面、絵に縛られてしまうため想像の範囲が限定されてしまいます。
こういった点から漫画は子供が娯楽として読むものであって、想像力・思考力を鍛えるものではない。つまり読書としてはみなせない、というのが一番多い意見ではないでしょうか?

また、確かに漫画の本全てが知識をもったものではなく、一部ではお笑いの部分重視に描かれた漫画本も多数あります。そのような本を親が目にしてしまったら、漫画=知識がないお遊びの本だと思われても仕方ないのかもしれません。

若者の活字離れ。しかし漫画についていえば・・・

さて、若者の活字離れが叫ばれる昨今ですが、漫画を読んでいる若者自体は大きな減少を見せていません。
(若者自体の数が減っているのでおそらく絶対数は下がっていると思われますが。)

下記のグラフは漫画雑誌アプリ「少年ジャンプ+」のアクティブユーザー数の推移を表しています。

出典:App Ape Lab

2014年からの2年半ほどでアクティブユーザー数は約6倍に急増しています。
漫画雑誌の発行部数減について騒がれていますが、漫画の読者数自体が減少した、というよりは紙の漫画からアプリに移行したと考えて良さそうです。

漫画読者が減らないのはなぜか

漫画は一般に読書とみなされる本に比べて安価です。文庫本であれば800円程度、ハードカバーだと1,500円ほどかかってしまいますが、漫画はワンコインで買えるものがほとんどです。毎月お小遣いがきまっている学生にとっては、気軽に買える漫画の方が手に取りやすいのも事実なのです。

そして、読書を語る上でもう1つ触れなければいけないのは、スマートフォンの普及です。
スマートフォンが普及してから、携帯1つで様々なことが出来るようになりました。ゲームはもちろん、決済や地図、時刻表を調べるなどあらゆることが可能です。上記でもお伝えした通り、それは読書においても大きな影響を与えています。スマートフォンの普及に伴い電子書籍や漫画アプリなどが増加しました。

本を持ち歩かずとも、クリックすれば携帯は瞬く間に読書のページを開き、好きな本や漫画を読むことができます。そして無料で読める電子漫画書籍がありふれているおかげで、手軽に読める漫画を選択する人も多いのです。
待ち合わせで相手を待っているひと時や電車での移動時間など、ちょっとした空き時間をうまく活かすには、数分〜10分程度でも話を進めることができる漫画というのは最適な手段なのです。
もちろん、続きを楽しみにする活字のみの本もいいのですが、あまりにやりたいことが多い現代の私たちにとって、漫画は必要な時に必要なだけ楽しませてくれるツールであり、現代のライフスタイルに合った娯楽といえそうです。

漫画はこれだけ私たちにとって必要不可欠な存在になっていますが、そもそも、漫画を読むことについてのメリットはどのようなことがあるのでしょうか?

漫画を読むメリット

漫画には様々なジャンルがあります。それこそ、恋愛、ファンタジー、SFなど、それらを読み陶酔することで登場人物の心の動きを知る事ができます。現実で起きたことと置き換えて自分ならどうするか考えることができます。そしてこれは社会に出た時の勉強にもなり得るのです。また、漫画ではいろんな言い回しが出てきます。それらを勉強できます。何よりも絵だけで必要な情報を読み取る力がつきます。そこを利用して、最近は漫画でわかる勉強本が出回るようになりました。

漫画は娯楽の一種として捉えられがちですが、内容次第では読書と言えるくらいの知識や考察力を得ることが可能です。活字のみの本から得られる語彙力や知識は確かに漫画は勝てません。活字だけの世界は絵がある漫画よりも想像力をかきたてられ、脳を育んでくれます。
しかし、絵がある方が記憶に定着しやすいのも事実です。漫画は上手に読めば、かなりのサポート力を発揮してくれます。

要求される思考力・想像力の大小があるとは言え、本を通して、知識を得る・感情移入する、という意味で言えば、一般でいう読書と漫画の間には大差がないように思われます。

まとめ

私は、漫画も読書だと声を大にして言いたいです。私自身、漫画が大好きなのはもちろんのこと、漫画を読むことで、漫画内のみで分からなかった言葉などを辞書で調べたりしているうちに、自然と小説やビジネス書等の活字本にも手を伸ばすようになりました。今は漫画も活字本も両方を読みます。

活字の本しか読書として認めない、そういう人はまだまだ多いと思いますが、どうか漫画を否定しないで欲しいです。漫画を読んでいるあの時間は活字の本を読む時間と同じく、幸せでわくわくな気分にさせてくれるのです。

漫画は読書なのかというテーマは昔から討論されてきました。活字本には活字本の、漫画には漫画だけの面白みがあり、メリットデメリットがあります。でもどちらも私たちが生活する中でほんの少し楽しみを追加させてくれます。最も怖いのは、世界からこれらの本がなくなってしまうことではないでしょうか。漫画だけでもいいです、活字本も素敵です、私はこれからも本をどんどん読みたいと思います。そしてまわりの人たちに読むことの良さを伝えていきたいと思います。

(執筆者:澪)

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